• 検索結果がありません。

緒言 分子研リポート2007 | 分子科学研究所

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2018

シェア "緒言 分子研リポート2007 | 分子科学研究所"

Copied!
1
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

研究施設の現状と将来計画 325

8.研究施設の現状と将来計画

日本の学術研究行政においては依然として憂うべき状況が続いており,その速やかな改善が望まれるところである が,研究成果の客観的評価,及び,研究や研究所の将来に亘る在り方についての議論等は常に重要な事業であること から,分子研においては第一期中期計画の終了を近い将来に迎えた今,前節でも述べた通り平成19年度において, 研究所全体に亘る評価を実施した。一方,大学評価の活動が必要以上に拡大化・詳細化しだしており,研究者の評価 疲れが深刻な事態になって来ている。これは,法人化の問題の一つの憂うべき現象であり,今後の改善が切に望まれる。

昨年度の分子研リポートで既に報告した通り,平成19年4月から分子研の組織を4領域に大幅に改編したが,各 領域内に留まらず領域をまたがった連携が深まることを大いに期待しているところである。これらの期待を踏まえた 上での,各施設の現状紹介と将来計画についての報告が以下に述べられている。

極端紫外光研究施設においては,小型で世界最高輝度を誇る施設としてトップアップ運転を目指した準備等々が進 められている。また,研究面でも良い成果がいくつも出ている。ただ,将来の次世代光源開発については多々議論を 重ねているところであるが,国の財政状況等のため将来の見通しは残念ながら立っていない。分子スケールナノサイ エンスセンターにおいては,文科省の事業として再出発した「ナノテクノロジーネットワーク支援事業」の中部地区 の拠点を分子研が担っており,他大学との連携で既に良い成果を上げつつある。また,920M H z N M R の更なる有効 活用を目指して,固体試料を温度制御した形で測定できる様に技術開発を進める準備をすると共に,他大学と連携し て「超高磁場固体 N M R を用いたバイオマテリアル・先端分子材料研究のための基盤技術開発と応用」の事業を概算 要求することを計画している。分子制御レーザー開発研究センターにおいては,理研との「エクストリームフォトニ クス」連携研究が順調に進行している。また,光分子科学領域内の協力,特に,極端紫外光研究施設との協力により, 新しい光の発生など新分野の創出が期待される。将来,センターの更なる拡充をも行う予定である。機器センターは 昨年度新たに発足したが,技術職員の集中的配属により,様々な機器の内外研究者による有効な活用を目指した活動 が開始されている。また,何と言っても将来に亘る最も重要な活動は「化学系研究設備有効活用ネットワーク」の運 用である。将来においては,分子研1機関による概算要求枠を越えた形での支援により,全国72の国立大学の研究 者の基盤的研究が支えられるようにすべきである。装置開発室においては,本施設を特定した形での外部評価を実施 し,多くの有意義なコメント等を頂いた。技術職員一人一人がしっかりとしたビジョンを持ちつつ,日々レベルアッ プに努力すると共に常に技術レベルの客観的なチェックを行うこと,非常勤職員や熟練技術者の雇用を考えること, 研究グループとの連携と共に研究論文における謝辞の徹底等々のご指摘は心すべきことであろう。また,設備の老朽 化の解消も今後の大きな課題である。計算科学研究センターにおいては,高性能分子シミュレーターシステムが3月 に更新され,新しい体制で利用者へのサービスが始まっている。大規模利用者のために設定された特別課題Sは順調 に進められている。一方,神戸に設置されることが決まっている次世代スーパーコンピューターのソフト面の一つの 大きな柱としての「ナノ分野グランドチャレンジ アプリケーション」の活動は,分子研が責任拠点となって本格的な 活動を開始した。ナノサイエンスを含む分子科学分野の分野拠点として,同分野のコミュニティーの皆さんと常に連 携を取りながら活動していくことが肝要である。

以上,いずれの研究施設も,分子科学コミュニティーの研究者が行う基盤的研究を支えると共に,最先端研究の遂 行を支援するために欠くことのできない施設であり,常に整備されていることが必要である。研究者自身の努力と共 に,国の学術研究支援強化が切望されるところである。

(中村宏樹)

参照

関連したドキュメント

機械物理研究室では,光などの自然現象を 活用した高速・知的情報処理の創成を目指 した研究に取り組んでいます。応用物理学 会の「光

関西学院大学手話言語研究センターの研究員をしております松岡と申します。よろ

経済学研究科は、経済学の高等教育機関として研究者を

本稿で取り上げる関西社会経済研究所の自治 体評価では、 以上のような観点を踏まえて評価 を試みている。 関西社会経済研究所は、 年

本研究科は、本学の基本理念のもとに高度な言語コミュニケーション能力を備え、建学

本研究科は、本学の基本理念のもとに高度な言語コミュニケーション能力を備え、建学

本研究科は、本学の基本理念のもとに高度な言語コミュニケーション能力を備え、建学

社会学研究科は、社会学および社会心理学の先端的研究を推進するとともに、博士課